@子供自転車に潜む危険性
仕事上、毎日たくさんの自転車を修理する訳ですが
以前から非常に気になっていた子供自転車の
危険性について今回は、お話してみたいと思います。
”危険性”と書くと少々大袈裟かと思われるでしょうが
私の目から見て、恐怖感すら感じるほどに危険で
「おいおい?コレじゃ子供死んじゃうよ?」という状態で
乗られている自転車も珍しくはないのです。
もちろん皆さんにとって、かけがえのない存在ですから
わざわざ怪我をさせたい、事故に遭わせたい
なんて、思う親はいないでしょう。
しかし!
お父さん、お母さんが知らないうちに
”大切な我が子”を危険な目に逢わせているのも事実です。
安全教育の徹底はもちろんですが、普段子供達が乗っている自転車にも
目を向けてみてください。
「うちの子、自転車が調子悪いなんて言っていないけど?」
実はコレが一番危険なのです。
子供が、自転車の故障を判断し”それを修理しなければならない”という発想に
いたる事は、ほとんどありません。与えられた自転車のブレーキが効かない
場合、止まらないブレーキをそのままの状態で
どうしたら止まるのかを自己判断している場合が多いのです。
周りを見て、足で自転車を止めている子はいませんか?
この場合は、ブレーキの使い方を教えていないか
ブレーキがその子供に合っていないか
ブレーキ自体が故障し、効かない状態のいずれかです。
子供が最初に覚えるのは
スピードを出す事です。上記の状態の
自転車に乗せていて安全でない事は誰にでもわかるはずです。
では、どのようにすれば少しでも安全な状態で自転車に乗れるのでしょうか?
1:体に合っていますか?
大人用のものと違い
子供用の自転車というのは成長に合わせ
短い期間で買い替えを強いられてしまう性質があります。
14インチ、16インチから始まり
14:16:18:20:22:24:そして26インチ(ほぼ大人用)
順番に少しずつ大きくしてあげるのが一番BESTなのですが、
もちろん”お財布とも相談”しなければなりません(笑)
ほとんどの家では小さくて乗れなくなるまで乗ってもらい、
購入時は足がつくギリギリのサイズを購入する事が多いでしょう
しかし想像してみてください。
普段乗りなれた少し小さめの自転車が、ある日突然
またぐ事も困難なサイズの自転車に変わるのです。
コレでは大人でも躊躇します。
ですから、まず自転車を購入した時は出来るだけ
自転車を小さく組み立てる必要があります。
椅子(サドル)の高さだけではなく、ハンドル位置もブレーキ位置も
出来るだけ小さく組み立て、後は子供の成長に合わせ徐々に
大きくしてあげると良いでしょう。
特にブレーキレバーの位置には気を使ってください。
乗車状態で手首の位置がなるべく
まっすぐになるように調節しましょう。
手首が曲がった状態では、ブレーキレバーを十分に
握る事は出来ませんから。
(*手首を曲げた状態で握力計を握っても力が入りませんよね?)
おさがりでもらった自転車に関しても同様に
整備してあげる必要性を感じます。
そして、広い場所で十分に練習をし、ある程度安全に操作できるように
なってから、一般公道に出すようにするだけで安全性は飛躍的に向上するはずです。
2:一ヶ月に一度子供と一緒に自転車を掃除しましょう。
掃除といっても水をかけてじゃぶじゃぶ洗う訳ではありません。
子供と一緒に拭き掃除をすれば良いのです。
面倒くさいなんていわないで下さいね
実は、コレが極意といっても過言ではないのです。(笑)
子供は大人の想像を越えた場所を走行します。
アスファルトの上はもちろん、土の上、草の上
わざわざ水溜りに突っ込んで行く事も日常茶飯事です。
水を含んだ泥等が付着した状態では、正常に動作しなければならない
部品も動きが悪くなってしまいがちです。
それらを子供と一緒に綺麗にしていくのですが、
一緒に掃除をする事で、自転車の異常に、
いち早く気づいてあげることが出来るメリットもあります。
点検項目としては
◎ハンドルの曲がりはないか?
◎サドルの曲がりはないか?
◎ブレーキは適正に効いているか?
◎チェーンの張りは適正か?
(MTBタイプの場合変速はスムースに稼動するか?)
◎各部はスムースに回転するか?
◎ベルやライトは正常に作動するか?
*特にブレーキ周りやチェーンの錆(さび)は動作不良の原因になります
上記の点検をしていただければ、十分でしょう。
子供に物を大切に使う事を教えられますし
自転車に関する安全知識も一緒に学習出来るので
まさに一石二鳥ですね!是非実行してください。
3:一年に一度はきちんと自転車屋さんで安全点検を
本業の営業みたいになってしまうのですが、
やはり、一年に一度くらいはしっかりとプロに見てもらいましょう。
子供の成長は予想以上に早いものです。
その成長に合わせて適正に自転車を調整し
上記の点検を行い、必要各部に給油を施し
各部のまし締め調整を行います。(結構緩みます)
自転車屋さんにもよるかと思いますが(部品交換が必要でない限り)
、何千円も請求される事は少ないと思われます。
不安でしたら、率直に、いくらかかるのかを聞いてみるのも
方法かもしれません。
自転車を手に入れた子供達は少なからず行動範囲も
広がり親の目の届かないところにまで足を運びます。
もちろん、冒険心なども芽生えますし、自転車を通じて
信号を守る、歩行者や、自動車との協調を図るなど
社会的モラルも学習するわけです。
そしていつの時代もこれからの世界を担っていくのは子供達です。
その子供達に正しい認識を与え健やかに成長を助けていくのは
我々大人の責任ではないでしょうか?
私は、自転車修理業という立場から提案しつづけたいと考えます。